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知っておいて損はない贈与税④

1 相続時精算課税制度を利用する前にちょっと考えてみよう
 相続時精算課税制度は、特定贈与者に相続が発生した時に今までの贈与財産をすべて合算して相続税の計算を行うという制度であることはお分かりのことと思います。しかし、この制度は相続税を安く上げるためではないことをしっかりと頭の中に入れてください。あくまでもまとまった金員を早期に次世代に移転することによって経済効果を上げるという政策的な税制です。

2 利用している人は多いのですか
 国税庁が毎年発表している贈与税の申告状況から平成18年分を見てみます。贈与税を申告した369千人のうち相続時精算課税制度を利用した人は83千人です。1億円以上の受贈者451人のうち307人(68%)が利用しています。10億円を超えると23人のうち18人です。逆に考えますと、1億円を超える金額を受贈しても相続時精算課税制度を利用しない人が相当数いるということです。あえて暦年課税制度を選んで高額な贈与税を納税しています。もちろん相続時精算課税制度の要件に合致しない場合もあるでしょうが、この制度のメリット・デメリットを十分検討した上でのことだと考えます。ここで、いくつかメリット・デメリットをご説明しますので、贈与税の申告の参考にしてください。

3 メリット
⑴ 相続時精算課税制度を選択して、特定贈与者が死亡した場合相続税の申告に受贈財産を加算して計算することになります。その場合の加算金額は贈与時点での金額となります。例えば不動産の場合、不動産価格が上昇傾向にあって受贈時点より価格が上昇していれば、相続税の計算に算入される価格が低く抑えられます。早目に贈与を受けたメリットは大きいわけです。
⑵ まとまった金員を受贈することによって、一度に高額の買い物ができる。
住宅資金を受贈した場合550万円の特別控除制度がありました。これは子供たちが住宅を取得するときの大きな恩典であるということで大変活用されてきました。現実には受贈金額が550万円にとどまることなく1000万円、2000万円と高額の贈与も多かったようです。(この特例は精算課税制度ができたのち、平成17年分をもって廃止されました。)
現在では、それまでの控除額よりはるかに多く3500万円まで贈与をすることができるようになりました。また、父親と母親からそれぞれ3500万円合計7000万円の贈与を受けることができ、高額なマンション等を購入するケースがたいへん多いようです。
⑶ 贈与者に相続税がかからない場合でも、早めに財産の有効活用ができる。
相続税の心配はいらない程度の財産でも,いざ子供に贈与をしようと考えても基礎控除額の110万円がネックになっていました。この制度を活用すれば2500万円までであれば株式でも現金でも何でも好きな財産を生前に贈与することができます。特に資産運用の一つとしてマンションの1棟を所有している場合は、高額な敷地は贈与せず建物の贈与のみを行えば安く抑えられます。
特に、賃貸物件のような収益を生み出している資産を早めに移すことによって資産が子供に蓄積されるというメリットがあります。
⑷ 低率の贈与税で生前の財産分割を行う。
家族間の事情で早期に財産を分配しておきたいというような場合は、受贈価額2500万円を超えても贈与税は20%という低率の税額で済みますから、相続時精算課税制度を利用して贈与しておくというのも一つの方法です。もし、相続税の対象にならなければその納めた贈与税は還付されます。

4 デメリット
⑴ 価格が将来変動するような財産の場合は、メリットで述べましたことと反対の現象が起きます。相続時点で不動産や株式が大幅に下落していた場合は、相続財産に算入される金額が時価より高いものになってしまいます。あくまでも相続財産に算入するのは贈与時点での価格ですので、非常に不利です。
不動産価格が安定している時期はあまり心配はいらないかもしれませんが、下落傾向にありますと気になるところです。不動産よりも、同族会社の株式の場合には注意が必要です。株価が高いと時期に早目に経営権を委譲する目的で贈与して納税したとします。しかし相続開始がいつになるかわからないわけですからその間会社の状況が大幅に変化することも十分考えられます。順調に業績を伸ばして来ても経済変動で一瞬にして赤字会社に転落することもあり得ます。その場合たまたま相続が開始して株価が算定されなかったとしても、相続財産に算入されるのは業績が良かった頃の高額な評価額で算定された受贈価額です。
この判断は難しいところです。
⑵ 相続時点までに使い切ってしまった受贈財産でも相続税の対象となる。
現金贈与をしており、特定贈与者に相続が開始したとします。もしその現金を使い切って全く残っていなかったとしても相続財産には贈与時点での金額が加算されてしまいます。
不動産の取得のような高額な買い物をして、形として残っていればいいのですが、受贈者の中には現金を手にしてこれ幸いと費消してしまう人がいるかもしれません。この場合でも相続財産に加算されるのは現金のそのものの金額です。
⑶ 一度この制度を選択すると、110万円以下の受贈でも特定贈与者が死亡するまで延々と贈与税の申告をしなければならないため煩わしい。
暦年課税方式である110万円控除は単年度での申告で済みます。相続時精算課税を適用した場合は2500万円を超えますと、たとえ一年間に10万円の贈与であっても申告して20%の贈与税を納めなければなりません。もはや特定贈与者が死ぬまで暦年課税に戻れないので基礎控除はありません。
⑷ 税負担は暦年課税に比べてどうでしょうか。
相続時精算課税の特別控除額2500万円に達するまで、暦年の基礎控除額110万円を利用すると約23年かかることになります。
しかし視点を変えて考えてみましょう。贈与税10%程度なら大して苦も無く納められると割り切ったらどうでしょうか。課税価格200万円までなら税率が10%です。つまり基礎控除額110万円をプラスした310万円までなら税率が10%で済みます。これが2500万円まで達する年数は約8年に短縮します。納める税額は8年で160万円です。その後、先程の23年に達するまでの15年間に310万円の贈与を行ったとすれば合計で7130万円の贈与で460万円の税負担です。相続時精算課税制度を利用して7130万円の贈与を受ければ926万円の負担となります。
相続財産の額によっては贈与税額が還付されることがあります。しかし暦年課税ですと相続開始前3年以内の贈与財産のみが相続財産として繰り入れられますが、それ以外は相続税の計算とは切り離されます。納めた460万円は戻ってきませんが、23年間に通算で10%の税金を納めたと考えれば決して高いものではないように考えます。
⑸ 相続時精算課税制度の適用を受けた財産は相続財産として加算されます。もし特定贈与者が自己の財産のほとんどを占めている不動産もしくは非上場株式を贈与していたとしたらどうでしょうか。特定贈与者の相続開始時点では財産がほとんどなく、相続時精算課税適用分だけの財産価格が加算されたと考えてください。相続人に預貯金がほとんどなく、加算された土地、非上場株式のみであれば納税資金に窮してしまいます。
相続税の納付が困難な場合には、相続した財産を税金の代わりに納付するという物納制度があります。相続財産の大半が不動産等で現金がほとんどない場合などに活用されています。しかし相続時精算課税制度を適用して不動産だけが課税される場合にはこの物納制度は利用できません。(相法41-2)

 これまでのご説明でお分かりのことと思います。相続時精算課税制度は2500万円もしくは3500万円という非常に大きな特別控除です。不動産の取得のような場合には利用しない手はないと思います。しかし、そのメリット・デメリットをしっかりと検討したうえで対策を行うことが必要です。
 

税理士 武田秀和

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